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「真剣に向き合う」肢体障害者ボウリング交流戦

2016.07.26

2016年7月17日(日)、福岡県北九州市桃園シティボウルにて第9回全日本肢体障害者ボウリング選手権大会が開催された。
大会に先駆け、前日には健常者と障がい者の交流戦が行われた。本記事ではこの交流戦の模様をお伝えする。

肢体障がい者ボウリングのルールは、基本的には一般的なボウリングと変わりはない。
本大会では、健常者・障がい者の区別なく3ゲーム合計の総得点で競う個人戦と、プロ2名がそれぞれ一般チームと障がい者チームのリーダーとなり、プロの得点+上位10名の得点を競うチーム戦が行われた。

きっと読者の皆さんは、友達・家族・仕事仲間とボウリングを楽しんだ経験があるだろう。
助走をし、腕を振りかぶり、ピンに向かって重いボールを投げ込むというシンプルな動作の中でも、身体・精神的な変化でスコアに影響してしまう。
それでは、肢体障がい者がボウリングをする上でどんな壁があるのか。

大会に出場していた宮崎プロに話を伺った。
「スポーツとしてのボウリングは、自分のスイング(腕の振り)でリズムをとり、ボールをコントロールする。そして助走もハイスコアに重要な要素の一つ。
例えば義足の選手は、重いボールを持つため歩きづらく、バランスもとりづらいという影響がある。」
今回大会戦唯一の車いす選手である、八戸選手の投球を紹介する。
ボールを膝の上に置き、投球へと向かい、車いすのブレーキをかけ、腕を後頭部近くまで大きく振りかぶってから、腰のねじりを利用しカーブをかけてボールを投げる。
ダイナミックなフォームで繰り出されたボールは、障がい特性により腹筋と背筋を使えないため、腕の力だけで投げているそうだ。
「ダイビングもやっているが、利き手である右腕が太くなりすぎてウェットスーツが入らなくなってきたんです(笑)」と語っていた八戸選手、体をぶれずに投球する力を付けるために、敢えて利き手ではない左手で投げる練習もしているそうだ。
交流戦の結果はというと、障がい者の参加者24名中21名のアベレージスコアは150を超えた。さらに個人戦の1位と3位は障がい者、さらにチーム戦でも障がい者チームが勝利したのだ。
スポーツとしての障がい者ボウリングは、私たちの想像以上にハイレベルな戦いなのだ。

だが、日本肢体障害者ボウリング連盟の長田さんは、「『ボウリング=遊び』というイメージが先行しているため、スポーツとしての障がい者ボウリング選手人口は増えず、国際大会へ派遣が出来ないのが課題。」と語った。
来年愛媛で開かれる全国障害者スポーツ大会では、肢体障がい者ボウリングがオープン競技として採用されるが、競技者の高齢化は進む一方だという。

人それぞれのスポーツの定義は違う。だが、『ボウリング=遊び』という固定概念を取り払い、ボウリングと真剣に向き合う障がい者が増えることで、スポーツボウリングが一層輝けるはずだ。

交流戦結果
○個人戦
1位 松本健一選手(総得点734/障がい者の部)
2位 内田繁雄選手(総得点722/一般の部)
3位 井上夏子選手(総得点710/障がい者の部)

○チーム戦
1位 障がい者チーム(総得点7407)
2位 一般チーム(総得点7351)