トランジション中に見え隠れする戦略!義肢をどう使う?2017年世界パラトライアスロンシリーズ in 横浜

2017.05.19

2017年5月13日(土)、神奈川県横浜市山下公園周辺の特設会場にて、2017年世界トライアスロンシリーズ横浜大会が開催された。パラトライアスロン参加者は総勢72名、パラトライアスロンは一般の部の半分の距離である25.75km(スイム0.75km、バイク20km、ラン5km)を障がいに応じたクラスに別れてタイムを競い合う。リオデジャネイロパラリンピックからクラス分けに改訂が行われ、現在両脚の障がいに該当する「PTHC」、上肢もしくは下肢の障がいに該当する「PTS2~4」、視覚障がいに該当する「PTVI」の6クラスで競技が行われている。
午前6時55分、「On your marks !」のアナウンスとともに、数十人の選手が横浜港の海へ一斉に泳ぎ出し競技が始まった。海に浮かぶ二つのポイントを迂回し元居た場所へ戻るコースになっていた。スイムを終えると次は種目がバイクに移る。トランジションは種目移行時の準備時間を指すが、記録タイムに加算されるため「第4の種目」とも呼ばれ、勝負の鍵を握っている。PTS2~4クラスは上肢や下肢が欠損している競技者が属しており、必要に応じ義肢を付けて競技を行うことが認められている。義肢を装着した選手には、前腕義手(肘より先の義手)、下腿義足、大腿義足(膝より上の義足)といった義肢を巧みに使用していた。このクラスにとっては義肢の装着に要する時間も勝負所であり、“脱着の容易さ”が義肢の機能に求められる一方で競技中に外れないように優れた懸垂機能も必要となると思われた。アメリカの大腿切断の選手は、義足を付けずに片方の脚のみでバイクを漕いでいた。それは発揮できるパワーは切断部位が身体に近いほど不利に働くという点を考慮してのことかもしれないが、トランジション時間を短縮させるための戦略である可能性やランで義足を装着して走行することを考慮して切断側を温存している可能性など、各々の戦略が見え隠れしていたことが非常に印象的であった。
スポーツ用大腿義足の基本的な構造として断端を挿れて力を義足に伝えるためのソケット、膝関節の代わりとなる膝継手、カーボン製の足部がある。そこから競技者一人一人の身体機能に合わせてどのような機能を付加していくのかは競技成績に直結する重要なテーマである。義肢の調整が戦略や成績にどれだけ影響するのかは本大会を通じて気になるところであり、義肢の開発や現場で速やかに調整できる義肢装具士などによるサポート、義肢を使いこなし身体機能を向上させ、選手のコンディショニングを整えるトレーナーといったプロフェッショナルのサポートの重要性を痛感する大会であった。

2017世界トライアスロンシリーズ横浜大会
大会結果
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