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ベンチプレス300kg超!!絶対王者ラーマン現る

2017.08.04

7月25日から27日の3日間、東京ビッグサイト(東京都江東区)にて、スポーツ・健康産業における日本最大の展示会、SPORTEC2017(スポルテック2017)が開催された。イベント3日目となる27日には、パラパワーリフティング選手らによるベンチプレス大会、エレイコカップが開催された。昨年のリオデジャネイロパラリンピックで、ロンドン大会に続く2連覇を果たした107kg超級のラーマン選手(イラン)と、日本のパラパワーリフティング界の精鋭達が参加した。

最初に試技を行ったのはマクドナルド山本恵理選手(日本財団パラリンピックサポートセンター)。トレーニングを始めてまだ1年だが、先月行われたパワーリフティングジャパンカップでは50kg(日本記録)を挙げて優勝した。今回は自らの持つ日本記録に挑戦。1度はバーベルを胸の上で止め忘れて「失敗」となるもマクドナルド選手のルーティン、「マックポーズ」で再び集中。3回目の試技では見事53kgを挙げて会場を沸かせた。
最も注目を集めたのは、やはりパラパワーリフティング界の絶対王者ラーマン選手だ。最初の試技から他の選手と桁違いの260kgを軽々と持ち上げ、観客を驚かせた。この重さはリオデジャネイロパラリンピックで2位だった選手の記録をも上回るものだ。
パラパワーリフティングの選手らは下肢に何らかの障害があるため、基本的に健常者のように地面に脚をつけて踏ん張ることができない。しかし、ストラップと呼ばれるベルトでベンチ台上に載せた両足を固定することで、障害の程度によっては、多少踏ん張ることができる選手もいるそうだ。ラーマン選手は260kgをストラップ用いず挙げてみせた。

ラーマン選手はこの日、3回の試技を予定していた。しかし、3回目の試技では290kgを挙げるも、審判の判定は「失敗」であった。パワーリフティングではバーベルを挙げるだけではなく、バーベルを胸上で一度止めることや、地面に対して平行に挙げることが求められる。最後の試技が「失敗」に終わったラーマン選手。会場からは少しのため息とアンコールの声が沸き上がる。ここで終わらないのが世界最強の男だ。少しの休息をとって再び290kgに挑戦。声を張り上げ集中する。会場にも緊張感が漂い、この時ばかりは静まりかえった。安定したスタート姿勢から、バーベルはラーマン選手の胸に静かに着地した。そして次の瞬間、175kgを超える巨体から放たれる圧倒的なパワーによって、バーベルは持ち挙げられた。文句なしの「成功」だった。会場からの大きな歓声にラーマン選手は「Good lift」とホッとした表情で応えた。
パワーリフティング(ベンチプレス)は寝転んだ状態で行うため、下肢に障害のある選手も健常の選手とほとんど変わらないルールで行える。今回、来日したラーマン選手は健常者の世界記録をも上回っている。国内でもパラ選手が健常者の大会で優勝することがある。明解なルールだからこそ、多くの人が競える。しかし、その実際は奥が深い。集中の仕方や重量の変え方、明解なルールの中で巧みなテクニックや複雑な駆け引きが行われている。そんなパワーリフティングを愛する選手たちの今後の活躍に注目したい。(Text & Photo By はちみつ)