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光る活躍、縁の下の力持ち!ウィルチェアーラグビー日本選手権予選大会

2017.08.05

マーダーボール(殺人球技)と呼ばれている車いす競技、ウィルチェアーラグビー。数ある車いす競技の中で唯一タックルが認められている。7月29,30日の両日、横浜ラポール(神奈川)にてウィルチェアーラグビー日本選手権の予選大会が開催された。出場したのは北海道、東北、埼玉、神奈川の4チーム。リーグ形式で競い合った。

ウィルチェアーラグビーの試合は、バスケットボールと同じ広さのコートで行われる。攻撃する側はパスをしたり、ボールを持って進んだりして相手陣地へと攻め込む。ボールを保持した状態で相手チームのゴールラインを超えると得点となる。試合中は車いす同士が激しくぶつかり合い、金属音が響き渡る。ラグビー用の車いすはタックルの衝撃に耐えられるよう、他の競技で用いる車いすよりも頑丈に作られており、重くなっている。それでも試合中、激しいタックルによって選手達が弾き飛ばされていく。
試合は北海道Big Dippersが3戦全勝で優勝を果たした。Big Dippersは2位の AXE(埼玉)とともに12月に行われる日本選手権への出場権を獲得した。Big Dippersはリデジャネイロパラリンピックでも活躍した池崎大輔選手を起点に着実に点数を重ねていった。
試合中に観客の目を引いたのは、相手をかわす素早いチェアワークや、自ら相手選手にぶつかっていく激しいタックルだ。これらビッグプレーが起こる度に場内からは歓声があがった。だが記者にとって最も印象的だったのは、障害の程度が重たい選手(ローポインター)の活躍だ。自分よりも障害の程度が軽い選手(ハイポインター)を動けなくさせるスクリーンプレー等、巧みなプレーが随所に見られた。ウィルチェアーラグビーでは、車いすでゴールラインを通過しなければ得点にならないので、味方の選手が通る道をつくるスクリーンプレーが他のスポーツ以上に重要となる。ローポインターは観客の目を引くような派手なプレーはあまり行わないため注目されにくいが、試合を作り上げていく上で必要不可欠な縁の下の力持ちのように感じた。
また、縁の下の力持ちは選手だけではない。試合中には選手を支えるスタッフの活躍が光った。ウィルチェアーラグビーでは、激しいタックルが繰り返されるため車いすのトラブルが絶えない。そんな時に活躍するのが各チームのメカニックだ。試合中、選手が手の平で自らの肩を触る。「ヘルプ」の合図だ。試合が中断され、メカニックが選手の元へと駆け寄ってくる。修理が施され、またすぐに試合は再開される。

そんな選手の活躍を支えるメカニック、横濱義塾の各務大二郎さんに話を伺うことができた。各務さんがウィルチェアーラグビーに関わることになったのは、実姉が横濱義塾で選手として活躍していたことがきっかけだ。5年ほど前からチーム練習の手伝いをしていた各務さんは、次第にメカニックとしての仕事もこなすようになった。少しずつ修理にも慣れ、実姉が他チームへと移籍した今も、横濱義塾の頼れるメカニックとして活躍している。
27日の北海道Big Dippers戦では7本のタイヤがパンクした。それぞれの選手によってタイヤは異なり、スペアタイヤは各選手1本しか用意していない。そのため、試合中はパンクしたタイヤを取り替えた後、次のパンクに備えてすぐにタイヤの修理を行わなければならない。この試合は選手にとっても、各務さんにとっても激しい試合となった。

メカニックとして横濱義塾に欠かせない各務さんだが、本業はメカニックとは関係のないシンガーソングライターだ。忙しくて練習には中々参加できないが、試合の時には駆けつけているそうだ。最後に各務さんのメカニックとしてのモチベーションを尋ねると「チームの中に自分の役割があるのがいいんです。チームの楽しいところや賑やかなところが好きなんです。」とにこやかに語ってくれた。(Text & Photo By はちみつ)


【大会結果】
優勝 北海道Big Dippers
2位 AXE
3位 横濱義塾
4位 TOHOKU STORMERS

一般社団法人 日本ウィルチェアーラグビー連盟
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