TOP現地レポート記事一覧 > 現地レポート詳細

挑戦者か、パラリンピアンか ~KanagawaOpen 2017~

2017.08.22

蒸し暑い夏には珍しく、涼しい日であった。取材を行った8月11日は、Kanagawa Open 2017の3日目となっていた。その日はシングルス女子準決勝が行われ、高室冴綺選手と深澤美恵選手が戦った。
高室選手は今年度に入り、海外で連戦を行っている。最近では世界ランキングを上げ、東京2020のパラリンピック出場に期待のかかる若手選手だ。一方の深澤選手は、2004年のアテネパラリンピック、2008年の北京パラリンピックに出場した、経験豊富な選手である。
勢いに乗る高室選手、ベテランの深澤選手、どちらが勝ってもおかしくない組み合わせであった。

第1セット、共に譲らず6-7までもつれ込み、深澤選手が先取。両者とも試合の立ち上がりに苦戦したのか、ミスが目立った。
高室選手は、ネット際ギリギリのところへの返球を得意としているように見て取れた。深澤選手は、球を追いながらも相手の位置を把握し、逆サイドに振るプレーが多かった。
ここまで約1時間半。この後2時間半の激闘が待っているとは誰も予想していない。
隣のコートでも行われていた準決勝では、既に2セット先取した大谷桃子選手が試合を終え、高室選手と深澤選手の試合を見ていた。

第2セットに入り、ゲームの流れをつかみ始めた高室選手が6-3で制した。第1セットの修正を行い、返球が良く決まる。

第3セット、4-2になり、このまま高室選手がセットを取るかと予想された。しかし、深澤選手の冷静さは、さすがパラリンピアンである。高室選手を左右に振り、疲労をさそう。負けじと高室選手もキレのある返球でコートギリギリのラインを狙っていく。
まさに一進一退の攻防。
気が付けば6-6のタイブレーク。
最後の1ゲームが勝敗の鍵を握るこの展開、挑戦者とパラリンピアン、どちらが勝つのか。小雨にも関わらず、ギャラリーが固唾を呑んで試合展開を見守っていた。
最後の最後まで、何度もデュースを重ねた末、ゲームを制したのは…

6-7で深澤選手に軍配が挙がった。パラリンピアンの勝利であった。

試合後、高室選手に話を聞くことができた。
「悔しくて悔しくて…。
打てるチャンスはあったのに、打てていない。
オムニコートでの球威の変化に対応できず、コート特性への準備も必要だと感じました。
私よりも強い選手は、多くの試合をこなしても、疲労を見せずなお強い。強くなるには、私もその選手以上に試合をこなさなければ、と今は思っています。
前回(深澤選手に)勝っていた分、なおさら悔しいです。」
若手高室選手の今後の活躍、ベテラン深澤選手のさらなる躍進が、楽しみである。

■神奈川県車いすテニス協会HP
■去年のKanagawa Open 2016の記事はこちら