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障害者も健常者も!第15回障害者&健常者ベンチプレス交流大会

2017.08.29

8月27日(日)、兵庫県立障害者スポーツ交流館において、第15回障害者&健常者ベンチプレス交流大会が行われた。本大会は、近畿ディスエイブルパワーリフティング選手権、兵庫県民体育大会、兵庫県障害者スポーツフェスティバルなどを兼ねており、障害者と健常者がベンチプレス競技を通じて交流、友好の輪を広げることも目的とされている。そのため、会場には10歳代の選手から70歳代の選手まで、またその家族が選手の車いすに座りながらエールを送るなど、終始和やかな雰囲気であった。

一般に、パワーリフティングとは、バーベルを肩に担ぎ屈伸を行う「スクワット」、ベンチ台の上に横になりバーベルを胸につけて挙上する「ベンチプレス」、床に置いてあるバーベルを引き上げる「デッドリフト」の3種目で合計挙上重量を競うスポーツである(引用:公益財団法人日本パワーリフティング協会「パワーリフティングとは」 http://www.jpa-powerlifting.or.jp/powerlifting/)。また、男女別、体重別に分かれて順位を競う競技で、一部の変更を除くと、基本的には健常者のルールに準じて競技が行われているが、今大会では、その中の1種目であるベンチプレスが行われた。
障がい者のベンチプレスの大きな特徴は、健常者では足が地面につくように作られたベンチプレス台を使うのに対して、下肢に障害がある選手では全身が台に乗るように作られたベンチプレス台を使用することである。
下肢は完全に台にベルトで固定され、腕の力で全てが決まる。下肢に障がいのある選手が下半身の力を使わずに、健常者のベンチプレスと同じぐらいの重さを上げる選手もいるということなので、これがどれほどすごいことであるかを改めて実感できる。
今回記者が最も印象に残ったのは、視覚障がい者の選手によるベンチプレスである。通常、パラリンピックでは、ベンチプレスは下肢に障害がある選手が行うのだが、今大会では視覚障がい者も参加していた。
記者はその中で瀬川真澄選手が日本新記録(60㎏)に挑む瞬間を取材することができた。
隣で補助をしている人に手を引かれ、瀬川選手は審判の「バーズローデッド」(この掛け声とともに入場する)という言葉とともに入場。補助をしている人が選手の座る場所を強く叩いた音を頼りに、ベンチプレスの椅子に座った。バーベルの下に上半身を滑り込ませ、大記録への挑戦がいよいよ始まる。一瞬の静寂の後、審判の試技開始の合図とともに一気にパワーが炸裂。バーベルはゆっくりと、しかし力強く持ち上げられた。「ラック」の掛け声とともにバーベルを戻す。判定は・・・、3人の審判が白旗をあげ、見事成功!日本新記録が生まれた瞬間だった。
会場は大きな歓声に包まれ、車椅子に乗って審判をする人、健常者の選手、車椅子の選手、観客の人たちの全員が1つになったように感じられた。
わずか数秒で行われるこの競技だが、競技開始直前の沈黙と、途中の応援、成功した後の歓声は他の競技にはない魅力が凝縮されているように感じた。記者自身が今後、トレーニングでベンチプレスをする際、あの独特の雰囲気を感じることは難しいと思うが、大いに刺激を受けたことは疑いない。想像していた以上に会場の空気は熱く、特有の緊張感で包まれていた。(Text & Photo by Rikarun)

兵庫県立障害者スポーツ交流館HP
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