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「仲間を信じて」初代王者誕生!!第1回全国盲学校フロアバレーボール大会

2017.09.05

静寂に包まれ緊張が走る。選手の声のみが会場に響く。アタックが決まり会場中が忽ち興奮に包まれる。

第1回全国盲学校フロアバレーボール大会が8月23日~25日に埼玉県のさいたま市記念総合体育館で開催された。決勝戦では一点を争う熾烈な攻防の末、主管地区である埼玉県立特別支援学校塙保己一(はなわほきいち)学園が初代王者の栄光に輝いた。

フロアバレーボールは全盲や弱視の視覚障がい者と健常者が一緒にプレイできるように考案されている球技で、6人制バレーボール競技規則を参考にしている。コートは6人制バレーボールで使用するコートと同じ規格である。ネットは床上30cmに隙間ができるように張り、その下にボールを通し攻防を展開する。前衛3名、後衛3名で構成され、前衛選手はアイマスクもしくはアイシェードを着用し、何も見えない状態となる。よって前衛選手はボールの跳ねる音や後衛選手の指示を頼りに競技を行う。
「単純に面白い」
今回初めてフロアバレーボールを観戦した記者が抱いた感想である。シンプルに観ていて面白いのである。サッカーのシュートを彷彿とさせる強烈なアタック、相手の隙をついた鮮やかな攻撃、前衛の激しいブロック、考え抜かれた緻密な戦略。気づくと手に汗を握り、フロアバレーという競技に心を奪われていった。難しいプレイの判断がある時は、随時審判が観客に説明をしてくれるなど、予備知識がほとんどない人にとってもわかりやすく、楽しめる工夫がなされていた。

また、プレイ中の静けさもフロアバレーボールの特徴のひとつである。選手、特に前衛はボールの跳ねる音や後衛の指示を頼りにプレイを行う。よって観客は、得点が決まるまで固唾を呑んで見守るのである。そして得点が決まると喜びが爆発し、大きな盛り上がりを見せる。
決勝戦では地元埼玉県代表の、埼玉県立特別支援学校塙保己一学園(以下、塙保己一学園)と、優勝候補の近畿地区代表、大阪府立大阪北視覚支援学校(以下、大阪北視覚支援学校)が対戦し、両者一歩も譲らない好ゲームが繰り広げられた。1セット目を14-14のデュースの末、16-14で塙保己一学園が取る。2セット目は大阪北視覚支援学校のアタックが決まり出し、塙保己一学園のミスも重なり、大阪北視覚支援学校が3点リードで終盤を迎える。このまま3セット目に突入するかと思われたが、塙保己一学園のキャプテンである、金子選手を中心に声を掛け合い立て直し、ついに14-14のデュースまで持ち込んだ。そして追いついた勢いのまま、塙保己一学園が16-14で2セット目も取り、見事全国優勝を果たした。
今回優勝した塙保己一学園のキャプテンで、最優秀選手にも選ばれた金子選手に話を伺うことができた。フロアバレーボールの魅力について尋ねると、「チームスポーツの醍醐味である『コミュニケーション』が、形としてわかるくらい全面に出るスポーツ。後衛の指示を前衛が聞き、前衛が後衛を信じて動くところが楽しいところです」と語ってくれた。また今後のフロアバレーボールについては、「今ようやく全国大会が開催されるところまで来た。全国の盲学校に(それぞれフロアバレーボール)部ができるまで広まっていって欲しい」と話した。

本大会では決勝戦以外にも熱く、そして胸を打たれるような試合が数多かった。会場に足を運べば応援したくなる選手、チームがすぐに見つかるであろう。全国盲学校フロアバレーボール大会の歴史はまだ始まったばかりだ。今後更なる盛り上がりを見せることを期待したい。(Text & Photo by てつや)

【大会結果は以下の通り】
優勝   埼玉県立特別支援学校塙保己一学園
準優勝  大阪府立大阪北視覚支援学校
3位   茨城県立盲学校  

■フロアバレーボールの詳しいルールはこちら
■全国盲学校フロアバレーボール大会HP