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注目のインクルーシブスポーツ「ハンドサッカー」

2017.10.10

 「ハンドサッカー」、多くの人がこのスポーツの名を初めて聞いたのではないだろうか。ハンドボールでもなく、サッカーでもない。重度の肢体不自由のある人も参加できるスポーツとして注目を集めている。

 9月23日、府中けやきの森学園(東京都)で行われた「第10回ハンドサッカーフェスティバル」には、特別支援学校の卒業生やその保護者らおよそ300名が集まった。
 ハンドサッカーは7人チームでパスを繋ぎ、相手ゴールへと攻めていくスポーツだ。
 特徴的なのは試合に参加している選手たちの障がいの多様性。コートを縦横無尽に駆け抜ける選手もいれば、電動車椅子の操作も難しく、ほとんど移動ができない選手もいる。
 移動が難しい選手は主にスペシャルシューターか、ポイントゲッターというポジションを担う。この2つのポジションの選手は味方からのパスをもらうと、フリースローシュートのチャンスが与えられる。その際のシュートの方法には決まりがなく、自身の障がいの程度に合わせて、成功率が50%になるようなシュート方法を自ら考えることができる。手を動かせる人は手で、足を動かせる人は足でシュートを行う。ハンドサッカーという名前の由来になった独自のルールだ。そのため、大会中には様々なシュート方法を見ることができる。使うボールも選手によって異なり、運動会で使うような大玉から、拳ほどの大きさのゴムボールまで、その形状は様々だ。傾斜板などの補助用具には、好きなアイドルの写真を貼っている選手もいる。どのシュートの方法も選手の能力を最大限に活かせるよう工夫されたものばかりで、感心せずにはいられない。
 出場した10チームはそれぞれ、都内の特別支援学校の卒業生を中心に構成されている。試合は2ブロックに分かれてリーグ戦が行われ、各ブロックの勝ち点が最も多かったチームによる決勝戦が行われた。
 決勝の対戦カードは八東フェニックス(八王子東特別支援学校)対WING SOUL(小平特別支援学校)。試合は序盤から点の取り合いとなり、両者一歩も譲らぬ展開に。後半終了時点で10対10の同点。勝負の行方はスペシャルシューターとポイントゲッターによるシュートコンテストに委ねられた。シュートコンテストはサッカーのPK戦と同じような方式で行われる。
 各チーム最初の選手が成功し、続く2回目。八東フェニックスの選手がボールを車椅子で押すシュートに失敗すると、続くWING SOULの選手がボールを投げるシュートを成功させ、勝利を掴み取った。
 今年で10回目となる本大会。第1回大会から運営に携わってきた加藤篤志さんは、ハンドサッカーの魅力について「ルールに柔軟性があり、自らの機能を最大限に出し切ることができる。障がいの程度やシュートの方法も自己申告制なので、学校現場では教育的な効果も期待できる。卒業生においては、特別支援学校の卒業後も仲間との交流を続けることができ、活動の場が広がる。」と語った。現在、ハンドサッカーは日本ハンドサッカー協会を中心に普及活動を行なっており、誰もが活躍できるインクルーシブスポーツとして今後の発展が期待されている。
(Text & Photo by はちみつ)