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中外製薬2017車椅子ソフトボール大会in東京 ”車椅子競技は誰のもの?” 

2017.10.18

 10月7日と8日の両日、“中外製薬 2017 車椅子ソフトボール大会in東京”が東京臨海広域防災公園にて開催された。大会には国内の10チームと、車椅子ソフトボール発祥のアメリカ代表が出場し、1日目に予選、2日目に決勝トーナメントが行われた。

 車椅子ソフトボールとは、その名の通り車椅子に乗って行うソフトボールである。ピッチャーは山なりのボールを投げなければならない【スローピッチ・ソフトボール】(投手の手から球が離れて本塁に達するまでの間、アーチ《地面から1。8m〜3。6mの空間》を描かなければならない)等、独自のルールがあるものの、基本的なルールはソフトボールと同じである。野球のルールを知っていれば、ルールの理解は難しくないだろう。
 車椅子ソフトボールが日本に伝わったのはわずか数年前といわれている。その後、瞬く間にチーム数を増やし、2013年には日本車椅子ソフトボール協会が設立された。現在は10チームが加盟している。
 これまで日本で行われている主要な車椅子ソフトボール大会は、北海道・埼玉・九州で行われている三大会であった。今回初開催された“中外製薬 2017 車椅子ソフトボール大会in東京”は車椅子ソフトボール界に新たな歴史を刻む四大大会の1つとして注目を集めた。
 大会の1日目には、俳優の市原隼人さんが、大人気ドラマ「ROOKIES(ルーキーズ)」で安仁屋恵壹役を演じた際のユニフォームを身にまとって登場し、始球式を行った。市原さんの投球は惜しくもストライクとはならなかったものの、名ドラマを再現した粋な計らいに会場は大いに盛り上がった。
 車椅子ソフトボールでは他の車椅子競技と同じように、選手には0〜3点の1点刻みで、障がいの程度に応じた持ち点が与えられる(女子選手は持ち点から−1。5点)。障がいのない選手は3点選手として扱われ、その出場人数に制限はない。そのため出場選手(10人)の持ち点の合計が21点以内であれば、障がいのない選手も出場することができる。本大会でも多くの障がいのない選手が車椅子に乗って活躍している姿が見受けられた。試合後に立ち上がって片付けをする選手達を見ていると、“車椅子競技は障がいのある人が行うもの”という固定概念は取り払われた。

 試合は車椅子ソフトボール本家のアメリカ代表が、出場した6試合すべてで10点以上を得点する圧倒的な力を見せつけ優勝を飾った。1日目に行われた日本代表との親善試合でも、 13対0と快勝。アメリカ代表の圧倒的な強さには、日本との力の差を感じることとなったが、車椅子ソフトボール新興国日本の伸び代を感じることもできた。

 健常者も参加でき、重度障がいのある人も参加できる車椅子ソフトボール。世間への認知度は決して高くはないが、パラリンピックムーブメントも相まって、今もっとも勢いのあるパラスポーツの一つである。今後の国内の車椅子ソフトボールがどういった形で発展していくのか注目していきたい。
(Text & Photo by はちみつ)