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サーキットで魅せる!DUNLOPハンディキャップドライバー日本一決定戦2017 GROUND FINAL

2017.11.28

2017年11月19日(日)、筑波サーキットコース1000にて、「サーキットから始まる共生社会 筑波バリアフリーフェスタGround Final 2017」が行われた。日本身障運転者支援機構・日本障害者モータースポーツ協会の主催のもと、記念すべき10周年の大会が青空の下行われた。なんと延べ来場者は690名にも上った。

本大会では、バリアフリー走行会、日本一決定戦、体験走行、イタリアGuidosimplex(グイドシンプレックス)社の手動装置による「グランツーリスモ体験」などが行われており、会場では記者のようなモータースポーツ初観戦者でも、見て、参加して楽しむことができた。
Guidosimplex社の手動装置は、両手でハンドルを操作できるタイプ(ハンドルの前後にアクセルリングが付いている)で、スタッフは「海外では両手でハンドルを操作して、運転を楽しむ、という考え方があるのかもしれません。また、脊髄損傷などで体幹の保持が難しい方でも、両手で握れるタイプのハンドルだと運転に集中しやすいと思います。」と日本でも、より車の運転を楽しめる環境づくりの可能性を話してくれた。
日本一決定戦では、Fハンデ(フィジカルハンデ)と排気量ハンデを総合し、ドライバーの記録タイムに加算される合計のタイムハンデの制度を導入して試合が行われた。Fハンデでは、ドライバーの身体障害の部位や程度により減算され、排気量ハンデは、車両の排気量別に加算されていた。(1000ccを基準にし、100cc増加するごとに0.35秒加算。過給機の有無によるハンデも加える)
こういったルールが今大会に導入されているが、実は障がい者だけの(モータースポーツの
)競技会は日本国内では本大会のみ。他の活動機会はあるのか、疑問に思っていたところ大会に来場していたドライバー、岡本さんに話を伺うことができた。岡本さんは、国内唯一の脳性麻痺レーシングドライバーであり、JAPAN KART CUP With HDXなどの大会に年5回ほど参加しているという。「やはりスピード感はタイムアタック競技会の醍醐味。いろんなスポーツを行ったけれど、やっぱりカートに戻ってきました。」とはにかみながら言う岡本さんは、会場で自身のカート(実際にレースで使用する!)を組み立て、展示していた。
日本一決定戦で2位になった日本身障運転者支援機構理事の佐々木氏にも話を伺うことができた。佐々木氏は元々バイクレースに出場しており、その練習中に脊髄損傷を負ったという。「入院中、将来の不安にも駆られたが、後に障がい者になっても車のレースに出られると知って希望が持てた。また(コースに)戻ってこられると思っていなかったので、障がいを負っても車のレースに出場ができるということを知ってもらいたい。」という。事故を起こし、また練習でもよく使用していた富士スピードウェイのサーキットを再び車で走った時の感動は言うまでもない。また、「耐久レースは健常者と同じ大会に通常は参加しており、健常者も障がい者のドライバーに負けたことで(悔しいと思い)、切磋琢磨できれば。」とにこやかに語った。さらに、「車の運転に対して何かアクションを起こすことが大切、どんどん新しい人が増えてくると良い。」と思いを述べた。

走り終えたばかりの車両がコースから帰ってきた時に目の前を通るタイヤの焦げた匂いなど、いつもの「スポーツ」とはまた違った迫力があった。コース上には、タイヤ片(カーブなどの摩擦によりタイヤがはがれる)が多く落ちており、走行中にはタイヤ片が飛んできてフロントガラスにひびが入ることもあるという。冬季に路面が冷えていると夏よりもタイヤが滑りやすく、そういった状況も踏まえてコース取りを考える必要があるようだ。また、聴覚障がいがあると、スタート時にエンジン音が聞こえず上手くクラッチ操作をすることが難しいなど苦労もあるそうだ。実に奥深い。
日本身障運転者支援機構の佐藤理事長は、健常者の中で戦うか、障がい者の中でレースを行うか、任意で選択することができることがモータースポーツの最大の特徴であるという。2006年のテスト大会開催時には、3名の参加者のみであり、コースを1日貸切る資金繰りに苦労したようだ。だが今では、日本一決定戦への参戦者以外に、バリアフリー走行会(障がい者向け)や、チャリティ走行会(健常者向け)の参加者で賑わっており、会場のあちこちでエンジン音が鳴り響き、会場が賑わっていた。日本身障運転者支援機構は、来年度の大会に向けても大幅リニューアルを予定しているようである。

キーワードは「サーキットから始まる共生社会」。記者もひしとその趣旨を会場で感じた。スポーツの可能性を改めて感じ、今後もチャレアスではモータースポーツに注目していきたい。是非、皆さんも一歩を踏み出しては…?

【結果】
※順位はHeat1、Heat2にHC(総合ハンデ)を加えたいずれかのベストタイムで決定。
順位 -ドライバー -車の名前 -ベストタイム
1位 NABE NABE&尚のシティby京都 1’46,026
2位 ちゃちゃ  Varis G-force エボX  1’46,754
3位 だいちゃん@CZ4A RSアムロDKランサー  1’47,327

■ハンディキャップドライバー日本一決定戦 2017 GROUND FINAL
■筑波バリアフリーフェスタ2017
■日本身障運転者支援機構
■日本障害者モータースポーツ協会