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ロー·ポインターの強化·育成を担う「High8」横浜で予選会が開催!

2018.08.25

ハンブルグで世界選手権が始まった車いすバスケットボール。8月18日、世界に通用するロー·ポインターの強化·育成を担う「High8選手権大会 関東ブロック予選会」が横浜市(横浜ラポール)で開催された。

「High8」の大会は、脊椎損傷の選手、手などにも障害があるなど重度の選手(ロー・ポインター)のスキルアップを目指して考案された。18回目の全国大会を来年1月に控え、定着している活動だが、実は、日本にしかないユニークな取り組みなのである。

車椅子バスケットボールで最も重要なルールは、車椅子での障害の程度でクラス分けし、障害に応じたポイント(=持ち点)による5人のプレーヤーの合計が最高14.0ポイントになるようチームを組み、戦略を立てる。
つまり切断やポリオなどの障害の軽い選手(ハイ·ポインター)と、脊椎損傷などで腹筋を使うことができない重度障害の選手(ロー·ポインター)がともに出場。5人の組み合わせが勝ち敗けの鍵を握る。
それに対し「High8」は、チームの合計ポイントを最高8ポイントまでにしたバスケットボール。男子は1.0~2.5点のローポインターの選手が対象。男女混合、女子のみのチームもある(女子については本来の持ち点から0.5ポイントマイナスしてチーム編成できるというルールになっている)。

「全員に光ってほしい。上手い選手は、自然に光が当たる。そうじゃない選手にも光を当てることで、日本の選手全体の強化をしたい」と、大会を準備する関東車いすバスケットボール連盟·高橋俊一郎会長は話す。

本番の日本選手権は、来年1月26~27日に、初めて横浜ラポール(障害者スポーツセンター)を離れ、観客席のある藤沢市の体育館で開催される。

ロー·ポインターにとっても2020東京は大チャンス!

世界的にも、パラリンピックを頂点とする車いすバスケットボールの人気は高い。日本の競技人口は全国に10ブロック73チーム·645名(うち女子は8チーム·70名/JWBFホームページ)。
2020東京パラリンピック開催が決まり、車いすバスケットボールへの注目が高まり始めて、パラ競技全般への普及が進んでいる。
一見マニアックなクラス別大会にみえる「High8選手権大会」。
車いすバスケットボールが元々脊損者のスポーツ(切断は含まれていなかった)から始まったことを考えれば、ローポインターの存在を見つめ直す素晴らしい機会になるだろう。
ぜひ、アジア地域、世界など、広く普及の可能性にも挑戦してほ欲しい。
通常の14点の大会で、「High8」はハイ・ポインターのようなパワフルな動きはできない。試合の中では地味な存在である。しかし、ロー・ポインターを試合に入れることは車いすバスケットボールの大事なルールであり、いかにその力を発揮することができるかが試合の要となる。

ちなみに世界で活躍するHigh8出身者は、まず4大会連続でパラリンピック出場、北京パラリンピック日本選手団の主将・京也和幸(1.0/千葉ホークス)がいる。現在、日本代表コーチとして世界選手権に帯同している。そして、藤井新悟(1.5/宮城MAX)、豊島英(2.0/宮城MAX)、長田裕幸(2.0/埼玉ライオンズ)、藤澤潔(2.0/埼玉ライオンズ)、鳥海連志(2.5/パラ神奈川SC)など、車椅子バスケットボールに関心を持って検索すれば数々の有名選手を見つけることができる。

「High8選手権では、技術を習得するだけでなく、世界レベルの選手と一緒にプレーができ、モチベーションが高まる。励みにもなるところがいいと思う。試合を間近で見てくれたら、障害のある人も、観る人も考えが変わるように思います」と、高橋会長。

高橋さん自身も例外ではなく、18歳で怪我をして、試合を見て、「すごい!」と思い、競技を始めたロー·ポイントのプレーヤーである。この日は出番がなく、運営やスポンサー企業の接待に奔走していたが、ガッツのある戦いぶりを見せた「群馬マジック」に所属している。
高橋さんと群馬マジックは、9月に高崎アリーナで開催される日本選抜車椅子バスケットボール選手権大会」のホスト地域のチームとして出場する。今年で29回目を迎える大会で、日本選手権に出場できなかった次の16チームを集めた大会である。
「日本選手権の次のチームがいる、ということを知らせたい!」と、高橋さんは話していた。選手目線での普及のために、大会を考案し、様ざまな形での車いすバスケットボールの魅力を伝えている。

取材:佐々木延江/PARAPHOTO