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「風の中で放つ矢」第4回JPAP杯パラアーチェリートーナメント大会

2018.09.09

2018年9月9日(日)、残暑が厳しい埼玉県障害者交流センターグラウンドにて、『第4回「JPAP杯パラアーチェリートーナメント大会』が開催された。
13時の時点で気温33℃、湿度70%。日避けになりそうなものは何もなく、的と緑色の芝がただただ広がるグランドで、アーチェリー競技にとっては難易度を増す「風」が時折砂を舞い上げていた。

本日はリカーブ(男女70mラウンド)、コンパウンド(男女50mラウンド、オープンW1)が行われた。予選ラウンドは決められた4分間の中で6射行い、それを繰り返し、合計の点数で競う。午後には「オリンピックラウンド」と呼ばれる、一対一で対戦して勝ち抜いていくトーナメント方式がとられ、試合が行われた。
矢を放つたびに「ピュッ」という音、的に当たる瞬間に鳴る「トスッ」という確かな手ごたえ。風が吹きつける中、選手たちの的を狙う姿勢はぶれない。

試合を終えてすぐ、2名の選手に話を伺うことができた。
男子コンパウンドに出場した常世駿嗣選手(三菱UFJモルガン・スタンレーPB証券株式会社所属)。「ある程度の風は予想していたが、(本日の風は)予想を超えてきた風。試合では、良いパフォーマンスができず、メンタル・体力の強化が必要だと感じます。最近は室内での練習がメインとなっており、(試合を予測した)風の中での練習も必要ですね。
試合中は狙いたいところに当てる、という集中力を高めることが重要。同じ射ち方であったりリズムであったり。風に慣れて、風がやみ射てるときに射つ、それを考えながら試合に臨みました。」
予選ラウンドは4分という限られた時間の中で6射しなければならず、観ている記者もあおられるくらいの風が何度もあった中で、調整していく選手たちの強靭なメンタルを感じた。風が弱まるのを待つのか、それとも合わせて射ちに行くのか、選手たちの頭の中では、様々な思考が巡っていたことが伺える。

女子コンパウンドで準優勝をした平澤奈古選手(株式会社オー・エル・エム所属)にもお話を伺うことができた。「本日の風の強さは、アーチェリー競技をやってきた中でも3本の指に入るほどの強い風。風が吹いているときはタイミングよく射つことを考えて行っているが、今日は風がやむタイミングがなく難しい試合だった。私は狙いを定めて射つタイプというよりも、フォームであったりタイミングで当てるタイプ。狙いすぎると外してしまうので、今日は調整がうまくいかないことが多かったです。
また、今日の大会のような、予選と決勝が一日で行われる試合はあまりないので、長時間の戦いでしたね。」
また、現在所属している株式会社オー・エル・エムの社員も、本日は会場に足を運んでおり、平澤選手は、「会社の人が試合を観に来てくれることは励みになっています。関心を持ってくれていることが直に伝わってくるので、嬉しいです!」とのこと。
現在、オー・エル・エム社では6名のパラアスリートを雇用し、競技活動に集中できるよう環境整備のサポートを実施し、全社で応援している。
「所属のアスリート6名は様々な競技を行っているので、今後はほかの所属アスリートと情報交換をして、お互い切磋琢磨できればよいなと思います。みんなが頑張っていることが、私も励みになるので。」と、長時間の試合後にも関わらず、笑顔で平澤選手が語ってくれた。
所属アスリートだけでなく、社員も実際に現場に足を運び、勝負を一緒に体感する。こういった企業が、今後の日本のパラ競技を支えていくのだと感じる。