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カクテルが30回記念大会を制し6連覇を飾る「皇后杯 第30回記念日本女子車いすバスケットボール選手権大会」

2020.01.15

柳本あまね(カクテル)

2020年1月12日~13日に、「皇后杯 第30回記念日本女子車いすバスケットボール選手権大会」が神戸市中央体育館(兵庫県)で開催された。
参加8チームでトーナメント戦が行われ、決勝戦にはカクテル(近畿)とSCRATCH(東北)が勝ち上がった。3年連続同じ顔合わせとなった決勝戦は、両チーム共に、昨年の11月~12月にタイで行われた「2019アジアオセアニアチャンピオンシップス」に出場した日本代表選手が複数在籍している。

カクテルは、高い位置からプレスをかける守備が特徴で、この日も序盤からハイプレスをかけてSCRATCHのパスコースを次々と消していく。攻撃への切り替えも早く、高い位置でボールを奪うと、一気にスペースへと入り込み、SCRATCHのゴールへと迫る。攻撃では、アウトサイドから網本真里、インサイドから北田千尋がショットを決め、守備では5人の連携したプレッシングでSCRATCHの攻撃を封じ込んでいく。カクテルは、攻守の切り替えが遅くなってくると清水千浪に代わり柳本あまねを投入。この交代により攻守の切り替えに再びメリハリができた。柳本は、ローポインターながらアウトサイドからのシュート、ロングパスを使うことができ、ハイポインターの相手でもがっちりと抑え込むパワーを兼ね備えている。
前半、得点源であった北田が3ファウルで交代をすると、第3クォーター終盤までベンチに留まる。しかし、カクテルに大きな影響はなく、網本と柳本を中心に得点を重ねる。第4クォーターに入ってもカクテルのハイプレスは継続。後半は、SCRATCHの攻撃チャンスも増えたが、終始主導権を握ったカクテルが70-51でSCRATCHを破り、大会6連覇を果たした。

       北田千尋(カクテル)

~メダルを獲得した2000年シドニーパラリンピックから20年~

今大会は、今年で30大会目を迎える。第1回大会が開催された1990年から10年後の2000年シドニーパラリンピックで、女子車いすバスケットボール日本代表は銅メダルを獲得した。2020年は、シドニーパラリンピックから20年の節目となる。2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロパラリンピックの出場を逃した女子日本代表は、開催国として3大会ぶりにパラリンピックに出場する。日本代表は、世界を相手にどこまで戦えるのだろうか。

今回は、日本女子車いすバスケットボール選手権大会の第1回大会から参加している村山順子さん(ELFIN)にインタビューを行った。村山さんは、1988年ソウル、1992年バルセロナ、1996年アトランタ、2000年シドニー、2004年アテネのパラリンピック5大会に日本代表として出場。選手、スタッフとして女子車いすバスケットボール界で長く活躍している。

記者:1988年から2000年のシドニーパラリンピックまでの変化
村山さん「最初の頃はチーム数も少なくて、みんな和気藹々として、戦う『競技』というより、みんなで一年に一回会って集まって試合を楽しむという感じで、それから段々と競技性に変わっていきました。88年のソウルから意識が変わってきているけど、選手層が少なかったので、ジャパンの合宿といっても人数も少なく、選ばれるメンバーはあまり変わらない中でやっていました。」

記者:シドニーパラリンピックで銅メダルを獲得した要因は?
村山さん「それまでずっと5位、6位の位置にいました。私が初めて出場したソウル(88年)は緊張で何も覚えていません。もちろん控えの選手でした。自分としては、大会に行ってみて何もできなかったから練習がんばって、次また行ってみたらまた外国の選手に全然追いつかないという悔しい思いをずっとしてきて、他の選手もそうだと思うんですけど、どんどん積み上げていった集大成がぴったり2000年にきたと思います。」

記者:2000年以降の20年を振り返って
村山さん「若い選手も出てきて、車いすの性能もすごく良くなっているけど、個人の力が上がっていない気がします。海外が良くなっているとも言われるけど、私たちの時代はみんな仕事をしながら練習をして、週末の合宿が精一杯だったのが、今は合宿の期間も長くなっています。アスリート雇用も増えているので、練習量も増えているはずです。」
村山さんは、伸び悩んでいる選手数についても語る。「このままでは魅力が伝わらない気がします。だいたい開催国は上位にくい込むのが当たり前ですけど難しいのではないでしょうか。これまで(2012ロンドン、2016年リオデジャネイロ)出場できなかったので、この魅力がどれだけ伝わって、やってみたいなと思う人が増えるかというので不安があります。」

村山さんの冷静な見解は、世界と戦ってきたからこそ現実的で、言葉からは車いすバスケットボールに対する想いが強く感じられた。
パラリンピック本番を目前に、女子車いすバスケットボール日本代表は、2月に大阪で国際親善試合を行う。

       村山順子さん(ELFIN)

■大会結果
〇1回戦
カクテル(近畿) 60-17 パッション(四国)
Wing(関東) 55-43 GRACE(東京)
Brilliant Cats(東海北陸) 45-35 ELFIN(関東)
SCRATCH(東北) 75-23 九州ドルフィン(九州)
〇準決勝
カクテル 77-33 Wing
SCRATCH 71-32 Brilliant Cats
〇3位決定戦
Brilliant Cats 66-36 Wing
〇決勝
カクテル 70-51 SCRATCH