TOP競技レポート記事一覧 > 競技レポート詳細

電動車椅子サッカー「FIPFAパワーチェアフットボールワールドカップ2023」に向けた日本代表候補選考合宿を実施

2022.08.08

2022年7月30日~31日、兵庫県のニチイ学館で電動車椅子サッカーの「第2回日本代表候補選考合宿」が行われた。この選考合宿は、来年10月にオーストラリアで開催される「FIPFAパワーチェアフットボールワールドカップ2023」に向けた日本代表選手の選考合宿で、6月に行われた第1回の選考合宿と合わせて27名の選手が参加した。2017年にアメリカで開催された同大会で、日本チームは5位の成績を残している。
今回の選考合宿終了後、候補選手が12名程に絞られ、9月に行われる最終の日本代表候補選考合宿を経て、10月~11月に日本代表選手が決定する。

選考合宿に参加した27名の選手の中で、国際大会経験者は8名のみ。多くの選手が初の国際大会参加を目指してこの合宿に参加している。今回は、国際大会出場を目指す2名の選手にインタビューを行った。

          町田佑介選手

選考合宿初参加の町田佑介選手(Safilva)は、北海道在住で、地元北海道のチームに所属している。今回の選考合宿に強い思いを持っている選手の一人。

■町田佑介選手
Q.選考合宿に招集されて
参加したいと思っていたので、選ばれた時は、安堵と嬉しさがありました。
Q.電動車椅子サッカーの魅力
車いすでも迫力とスピードのあるサッカーができる、ボールが蹴れるというのが楽しいです。ポジショニングや周りを見るという部分はどんなスポーツでも共通しています。
Q.電動車椅子サッカーの難しいところ
電動車椅子サッカーの独特なルールであったり、コートに4人しかいないのでさぼることができず、常に動いていないといけません。
Q.将来の目標
夢は代表に入ることです。将来的には、代表になれたら、同じ障害とか車いすの人でも自分もできるかもしれないという気持ちを持ってもらえる選手になりたいです。

    山田貴大選手は攻守にわたり積極的にプレー

山田貴大選手(Red Eagles兵庫)は、今年5月に静岡県で開催された「第6回パワーチェアーフットボールチャンピオンシップジャパン2022」の優勝チーム『Red Eagles兵庫』に所属し、同大会のMVPに選ばれた実力者。

■山田貴大選手
Q.電動車椅子サッカーの魅力
普段から車いすに乗って生活しています。普通の車いすだと外でボールを蹴ったりスポーツをすることはなかなか難しいと思います。重度の障害のある方でも、競技用の車いすやフットガードを使えば、今まで感じることのなかったスピード感を得ることができ、アグレッシブなプレーができるところが魅力だと思います。
Q.電動車椅子サッカーの難しいところ
障害の関係であまり首が振れない選手もいます。見える角度が限定されて普通のサッカーをしている人よりは視野が狭くなります。頭を動かしながら、周りに何人いて、どのあたりにいるからバックしていいとか判断をしないといけないところが難しいと思います。
Q.試合形式ではチームをリードする場面が見受けられたが
今回の選考会では、即席のチームが決められ、キャプテンとして戦術の組み立ても任せてもらえることになりました。自分で考えて言葉を発信し、相手にきちんと言葉が伝わるようにするといった経験がなかったので、今回すごく勉強になりました。
Q.電動車椅子サッカーの見どころ
パスワークとか車いすのぶつかりあい、競り合いを注目してもらえると、躍動感とか激しさとか、通常のサッカーとは違う良さを感じてもらえると思います。
Q.将来の目標
直近の目標は、9月の最終選考に残ることです。来年のワールドカップに出たい。将来的には、オーストラリアの次の大会でも戦術の軸として戦えるようになりたいです。

      日本代表を率いる近藤公範監督

来年10月に開催される「FIPFAパワーチェアフットボールワールドカップ2023」で、日本代表はベスト4を目指している。日本代表を率いる近藤公範監督は選考合宿を通して、「若い子が育ってきたなと感じています。2年間のコロナ禍でも若手が思った以上に出てきていて、合宿でも自分の強みを出してくれた選手が多く、それが一つの成果だと思っています。」と手ごたえを感じていた。

最後に、近藤監督に電動車椅子サッカーの魅力について伺った。
■近藤監督
「この競技は重度の選手が多くて、海外に渡航することも命がけです。競技としては、スピード感がこの競技の魅力だと思うので、パスとかシュートを見ていただきたいと思います。人生をかけてサッカーに取り組んでいる選手を応援して、見に来ていただきたい。そのためには私たちがワールドカップで活躍することも必要です。」

電動車椅子サッカーの選手は、ジョイスティックを使って、手や足、顎などで車椅子を操作する。スピードは時速10km以下と定められているが、スピード感とパワーは大きな見どころ。車椅子の操作は難易度が高く、パスやドリブル、スピンシュートなどダイナミックなプレーの中にも繊細さが垣間見える。国内には30を超えるチームがあり、日本代表のみならず、国内大会も見応えがある。今後も、電動車椅子サッカーの活動に注目していきたい。

日本電動車椅子サッカー協会公式ホームページ

  代表として国際大会の経験が豊富な三上勇輝選手