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「美しい日本の秋を感じながら走りきる!」第16回日本IDフルマラソン選手権大会

2015.11.30

2015年11月29日(日)、山梨県河口湖にて「第16回日本IDフルマラソン選手権大会」が開催された。当大会は、第4回富士山マラソンと合同で行われており、当日は10,000名ものランナーが河口湖に一同に集まった。

当日の河口湖は、朝の8時半時点で気温3℃、湿度70%と肌寒いものの、晴天に恵まれて絶好のマラソン日和であった。空気は凛と澄んでおり、思わず深呼吸をしてしまう。今回のコースは世界遺産でもある富士山の麓であり、素晴らしい景色を楽しみながら走ることができるのも当大会の魅力のひとつであろう。日本の秋の美しさを堪能できる大会として、多くの海外ランナーも参加をしていた。

第4回富士山マラソンと合同であるため、朝の河口湖には本当に多くのランナーが集結した。社会人や大学の陸上チームや地域のクラブチームのユニフォームを着ている選手、着ぐるみを着て周囲の注目を一身に集めている選手など、年齢や性別、国籍、障がいの有無を超えて本当に多くのランナー達が、スタート時刻を今か今かと待ちわびていた。

その中でも今回は、「日本IDフルマラソン選手権大会」に焦点を当ててみたい。
当大会は、「特別非営利活動法人日本障がい者陸上連盟」が主催をしており、フルマラソン(42.195km)で男子の部と女子の部がある。第16回を迎えた当大会には、男子17名、女子2名の計19名がエントリーしている。
馴染みがない方のために、まずはIDフルマラソンについて説明をしたい。
■IDフルマラソンとは
IDとは、「Intellectual Disability」の略であり、知的障がいのある人のことを指す。
すなわちIDフルマラソンとは、知的障がいのある人のフルマラソン(42.195km)である。
IDフルマラソンは、必要に応じて伴走者の帯同がある以外は、健常者のフルマラソンとルールは変わらない。
ちなみにIDフルマラソンの世界記録と日本記録は以下の通りだ。
<男子の部>
 世界最高記録 2時間26分15秒 金子遼選手(埼玉県・滑川走友会)
 日本最高記録 2時間26分15秒 金子遼選手(埼玉県・滑川走友会)
 上記記録は、いずれも2012年の第66回福岡国際マラソン選手権で記録されたものだ。
<女子の部>
 世界最高記録 2時間39分12秒 Arleta Meloch選手(ポーランド)
 日本最高記録 3時間42分01秒 磯田寿子選手(RUNWEB・東京都)

こうしてみると、障がいの有無に関係なく、彼らの競技力の高さが見てとれる。

■コースについて
今回のコースは、河口湖および西湖を周遊する。
河口湖駅から徒歩15分程の船津浜(駐車場)を出発し、河口湖と西湖の周りを回って戻ってくる。スタート地点でもある船津浜(駐車場)がゴール地点となる。
コースは基本的には大きな高低差はないが、22km付近と34km付近には、約80メートルの高低差があり、ランナーにとって一番難しいポイントかもしれない。
また、コース上には4~5km毎に給水ポイントが多くあり、またボランティアスタッフや警備スタッフも多く配置されており、大会運営者の万全な運営体制も特筆すべき点だ。
■ランナーたちについて
今回の日本IDフルマラソン選手権大会に参加している19名のランナー達は、福島、東京、神奈川、千葉、静岡、新潟、鳥取、福岡、大阪、沖縄など日本全国から参加している。
彼らの多くは、通常は各々の地域で、ハーフマラソンやトラック競技などで競技力を磨いている。
今回、当大会で見事1位になった余村直彦選手と2位の柴田康彦選手が所属する大阪走友会のコーチの方にお話を伺うことができた。
彼らは週1~2回クラブで練習をしている。それ以外は、個人でトレーニングを重ねており、
親が運転するオートバイを追いかけるなどユニークな練習方法も紹介してくれた。

余村選手と柴田康彦選手は、スタートのピストルが鳴るや否や一目散に駆け出し、先頭集団に躍り出た。そのまま二人は並走を続け、ゴール前までデットヒートを繰り広げた後、最終的には余村選手が頭ひとつ抜け出し、1位になった。余村選手と柴田選手が見えると、沿道からも非常に大きな声援や歓声が上がっており、観る者の心を打つランであったことは言うまでもない。
誰かと比べるのではなく、ひたすら自分自身との闘い。
マラソンには、走ったランナーの数だけ物語がある。
その物語のひとつひとつに想いを馳せながら応援してみるのも、フルマラソン観戦の1つの醍醐味であるだろう。
■大会記録
エントリー19名、出場19名

男子フルマラソン
  1位:余村直彦選手(大阪走友会)2時間41分34秒
  2位:柴田康彦選手(大阪走友会)2時間41分35秒
  3位:佐野恭平選手(静岡ハンディ)2時間55分55秒

女子フルマラソン
  1位:平良美友貴選手(琉球スポーツS)4時間42分07秒
  2位:磯田寿子選手(RUNWEB)4時間45分18秒

大会結果
チャレンジド・スポーツポータルサイトCHALLEATH(チャレアス)